がんになって、入院、手術となると大概リハビリが必要になります。
入院しているとリハビリ担当者が付き添って廊下やラウンジで歩行練習などをしているのを見かけると思いますが、術後のチューブだらけの体での歩行練習からリハビリが自動的に入院スケジュールに組み込まれていくという感じです。
そして、私の場合、おそらく生きている限り永遠に続くであろうリハビリの始まりでした。歩行訓練の後、癌切除の手術で失った声をカバーするための人工喉頭の練習、気管孔へのネブライザーによる加湿、気管から出る痰の処理、手術で鎖骨、胸骨、肋骨を切除、右大胸筋を骨から剥がし気管孔の補強に使ったことから来ると思われる右肩の機能不具合を少しでも改善するためのリハビリです。
人工喉頭は難なくクリア、気管孔のメンテナンスは時間の経過とともに改善したというより慣れてきたという感じでしょうか。最初は、綿棒で痰を取るどころか、胸に開いた穴(気管孔)とフランケンシュタインのように縫い目だらけの体を鏡で見る事すら恐かったのですから。右肩の機能は、術後1年半以上経過した今でもほとんど改善していません。筋肉を骨から剥がしていることによるバランスの崩れ、手術で切った胸鎖乳突筋、大胸筋をはじめとする筋肉の硬化、放射線治療による組織の繊維化は主治医が言っていたように治らないのでしょう。首から大胸筋にかけての異物感とツッパリは24時間変わることはありません。横になったり、じっとしているとそれだけですぐに固まってしまいますから起きて体を動かしているほうが楽なのですね。
しかし、数十年にわたって培ってきたトレーニングメソッドを駆使して、可動域を広げるために出来るトレーニングを続けることで進行は食い止められていると思いますし、あわよくば改善をも狙っています。
筋肉を鍛えコンテストを目指す体作りから、生きるための機能改善のトレーニングへの転換です。自宅での毎日のストレッチ、腹筋のトレーニング、マッサージと体力回復のための週3~4回のベイコム体育館でのトレーニングは欠かしません。