がん宣告から今日までのまとめ(16)【気管孔で生きる為の生活の変化】 気管孔の体になると健常な頃と違い「暑いからシャワーを浴びよう。」「急用が出来たから出かけてきます。」「えっ、泊りがけで旅行?」といったことに「防水をしなければ!」「ネブライザー、痰取りセット一式持って」「何時にどこでネブラーザーをしようか」などの準備が必要です。筋トレに出かける時でさえあらかじめネブラーザーを済ませ気管孔の痰の状況をチェックして痰取りグッズ一式を準備してから出かけます。「息苦しい、脚がだるい、倦怠感がある」など体調との相談もあります。フットワークは悪くなります。 《入浴・シャワー》風呂やシャワーにも気を使います。永久気管孔から水が入ると肺に流れ込んでしまうため、溺れた時と同じ状態になり命にかかわるからです。術後の一時退院時に自宅で入浴の際にうっかりお湯が気管孔から入ったようで気管孔からの咳が止まらなくなり救急車を呼んだ経験があります。お風呂に浸かるときは基本鳩尾あたりまでの半身浴になります。シャワーでは下半身シャワーになります。そこで私の場合、入院中に担当医のツォン先生に相談し、試行錯誤の末に「ライトタッチフェイスマスク」という治具を「パーミロール」で張り付けて防水しての入浴、シャワーを始めました。それでも浸水の恐れがあるので湯舟ではマスクの下までしか浸かることはできません。水が入らないように細心の注意を払えば頭からのシャワーも可能です。(※ライトタッチフェイスマスク)(※パーミロール) (※ライトタッチフェイスマスク(象さんの鼻)を装着していざ風呂場へ。正直面倒くさいです。) ※こんな調子ですから、海辺、温泉、川辺など、足を滑らせて「ドボン」の可能性があるところへは極力行けません。 《臭覚がなくなる・息を吹けない・鼻をかめない、すすれない》◎鼻や口から呼吸をすることができないので嗅いがわかりません。おならなどのくさい臭い臭いがわからないのは良いかもしれませんが、美味しそうな料理や女性の美しい髪の香り、赤ちゃんのいい匂いもわかりません。ガス漏れや腐った食品にも気がつかないのは命にかかわります。 ◎熱い物に息をフーフーと吹きかけて冷ますことができません。口の中に空気を含めることでささやかにフーフーすることは可能です。 ◎鼻もかめないので鼻水が垂れ流しになりますからテイッシュが必需品となります。シンクロナイズドスイミングのノーズクリップも購入して試してみましたが、鼻が痛くなり長時間はできませんからティッシュなどで鼻栓をすることになります。 《話せないことへの対策》声帯も摘出しているので声が出ません。これはもう、「ノートやメッセージボードでの筆談」、「電気式人工喉頭」、「ジェスチャー」、「手話」での対応が現実的でしょう。 「筆談」はタイムリーな返事が出来ない、近くに居ないと意思疎通が出来ないのでイライラしてしまいます。「食道発声法」は日本全国にこの方法を教える発声教室があり、修得すると嗅覚も戻り、すすり込みや鼻をかんだりできるようにもなるそうですが、習得が困難なうえに維持も難しいようです。私の場合、「電気式人工喉頭とメッセージボードを併用」しています。人工喉頭は静かなところでは良いのですが、駅構内、乗り物内、居酒屋などで話すときには周囲の騒音にかき消され使えないのが難点です。人工喉頭は7万円くらいしますが、身体障害者3級に認定されると住んでいる自治体に申請すると補助金が出ます。 《気管孔の狭窄・肉芽》続きをみる
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